RedmineとTrelloの連携 – その組み合わせは鬼に金棒

Redmine

はじめに

こちらの記事からの続きです。

ここでは具体的な利用方法について、代表的なユースケースを例に紹介します。

おさらい

RedSyncは、TrelloのカードとRedmineのチケットを連携します。

RedSyncを使うことで、

  • プロジェクト管理者は、
    • プロジェクトのタスク (Trelloのカード) をWBS (Redmineのチケット) に基づいて編成することができます。
    • 各タスクの進捗をRedmineのチケット上で追跡し、またガントチャートなどRedmineのレポートツールを使って、プロジェクト全体の進捗を俯瞰することができます。
  • プロジェクトメンバーは、
    • 日々の作業の中で、Trelloのカード上でタスクのスケジュールや優先度を確認し、またタスクの進捗について報告することができます。
    • Trelloのカードを利用して、個人の仕事の段取りや結果を記録したり、チーム内で情報を共有したりすることで、生産性の向上を図ることができます。

日本語と英語のバイリンガルとなっているので、グローバルプロジェクトでも利用可能です。

RedSyncを使ってできること

プロマネは主にRedmineを、メンバーは主にTrelloを使うと想定しています。これはプロマネが必要とするプロジェクト管理機能の多くを、Redmineが提供しているためです。(ただしプロマネがTrelloを使えない訳ではないですし、今後プロマネ向けの機能をTrello側に実装することも検討しています)

上記を踏まえて次の3つのユースケースを代表例として説明します。

  • UC#1: プロジェクトのタスクを割り当てる (Redmine -> Trello)
    Redmineで定義したチケットを元にTrelloのカードを作成し、タスクとして担当者に割り当てます。
  • UC#2: タスクのステータスや進捗を報告する (Trello -> Redmine)
    Trelloのカードから、タスクのステータス (作業中、完了など) を更新し、Redmineのチケットに反映します。
  • UC#3: タスクのスケジュールを変更する (Redmine -> Trello)
    Redmineでチケットのスケジュールを変更し、結果をTrelloのカードに反映します。

UC#1: プロジェクトのタスクを割り当てる

まずプロマネが、WBS (Work Breakdown Structure) を定義します。これはRedmineではチケットを使って定義します。

例としてRedSyncをリリースするプロジェクトを定義しています。タスク (チケット) には親子関係を持たせています。(内容は特に意味は無いので無視してください)

そのガントチャートを次に示します。親子関係の他に、タスク間に依存関係 (先行/後続) が定義されていることが分かります。

プロジェクト期間はすでに始まっており、赤色のバーが見えるタスクは、予定より遅れていることを示しています。

次にプロマネが、Trello上でRedmineと同期 (RedSyncの提供するコマンドのひとつ) を実行して、チケットをTrelloのカードとして取り込みます。左側の新規リストにカードが作成されているのが見えます。

作成されたカードは、他のリストに移動することができます。リストはタスクをどのようにグループ化するかを考えて、自由に定義することができます。ここでは単純に作業中完了保留のリストを作っています。リストの移動と前後して、カード上で担当者を割り当てます。

担当者の割り当て方は幾つかありますが、例えば上部に表示されているメンバーリストから、カード上にドラッグ&ドロップできます。

UC#2-1: タスクのステータスや進捗を報告する (その1)

メンバーが、カード上でタスクのステータスや進捗を報告します。ここでは、「#229 サポート窓口のサイトを用意する」タスクを対象に、カード上で次の変更を行います。

項目内容
ステータス“New” -> “In Progress”
進捗0% -> 50%
説明作業の概略を記載
作業リストリストを追加して、段取りを記載
ラベルTrelloに関するタスクであることを追加

変更中のカードを次に示します。

ラベルはタスクの属性を視覚的に表現することができます。Redmineデータのセクションは、Redmineのチケットの項目と対応しています。作業リストは、独立したチケットを起票するまでもない、細かな作業を定義することができます。

Trelloのリスト上では、ラベルや作業リストの進捗も確認できます。

Redmineデータセクションに対する変更は、リアルタイムにRedmineに反映されます。この時Redmineでチケット一覧を見ると次のようになっています。

「#229 サポート窓口のサイトを用意する」のステータスが”In Progress”になっており、進捗率が緑色のバーで表示されています。また親チケットの「#226 Trelloの承認を得る」の進捗率が少しだけ進んでいるのが分かります。(#226のステータスが”New”から”In Progress”に自動的に変わって欲しいところですが、ここはRedmineの仕様なので仕方ありません。何かしら理由があるのかも知れません …)

またガントチャートを見ると次のようになっています。少し緑色が増えてきて、プロマネ的にはホッとするところでしょうか。

UC#2-2: タスクのステータスや進捗を報告する (その2)

ここではステータスや進捗報告の別の例として、タスクの完了時の処理について見てみます。

まずカード上でタスクの完了を報告します。具体的にはステータスを”Closed”とし、進捗を”100%”にします。

この時作業リストは全項目チェック済みとしています。またGitHub上に作成した受付窓口の”README.MD”ファイルへのリンクを、作業結果として貼り付けています。

Trelloには、Google Drive, Dropbox, Boxなど多くの外部ストレージと統合できるPower-Upがあるので、それらのストレージにおかれたファイルを、成果物として貼付することもできます。

この状態でカードを閉じてRedmineと同期を実行します。前述したように、ステータスや進捗はカード上で変更したものが、リアルタイムにRedmineに反映されます。一方、スケジュールやその完了フラグは、Redmineと同期を実行することで、RedmineからTrelloに反映する必要があります。

結果は次のようになります。右から2列目の完了リストにカードが移動しています。

カードのスケジュール部分が緑色になっています。これはカードの完了フラグが立っていることを示しています。

カードの移動は、ButlerというTrelloの自動化の機能を使っています。Butlerでの完了処理の定義を次に示します。「カードの期日が完了とマークされた時に、カードを完了リストのトップに移動する」という定義内容になっています。

※ ルールの実行回数には、月当たりの上限があります。

UC#3: スケジュールを変更する

プロマネが、Redmineでチケットのスケジュールを変更します。Redmineはチケットの依存関係 (先行タスクなど) を元にスケジュールを調整する機能があります。またRedmineのプラグインの中には、ガントチャート上でグラフィカルにスケジュールを調整できるものもあります。

ここでは「#228 ドキュメント用WPサイトを立ち上げる」の期日を1週間先に延ばすことにします。具体的には、当初予定の6月7日から6月14日に変更します。この結果、ガントチャートは次のようになります。#228のチケットに依存する後続のチケットが全て1週間後ろ倒しになっています。

プロマネが、TrelloでRedmineと同期を実行します。するとカード上の開始日、期日が更新されます。同期前と同期後のリストを次に示します。開始日、期日の部分が変更されていることが分かります。

もしこの変更を手作業で行うとしたら、すぐにメンテナンスされなくなり、誰もカードの情報を信用しなくなるでしょう。RedSyncを使えば常に最新のスケジュールを共有することができます。

おわりに

如何でしたでしょうか? RedmineとTrelloを連携することで、現場の負担を最小限にしつつ、プロジェクトのステータスや進捗を追跡できるイメージをお伝えできたでしょうか?

RedmineもTrelloも多くの機能を持つ強力なツールです。ここでは簡単な例しか紹介できていませんが、より高度な使い方が可能です。それぞれ使いこなせば、プロマネ、メンバーの大きな助けになります。その連携はまさに「鬼に金棒」というところでしょうか。

変更履歴

日付内容
2022/07/21改訂版リリース (分割)
2022/05/29ユースケースについて記述
2022/05/24初版リリース

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