TrelloとRedmineを連携してチームの生産性をアップしよう

はじめに

RedmineをTrelloと連携するPower-Up (Trelloのプラグイン) RedSyncの紹介です。

RedSyncは、Redmineの優れたプロジェクト管理機能と、Trelloのユーザーフレンドリーなタスク管理機能を融合します。これによりプロマネとプロジェクトメンバーの緊密なコミュニケーションを実現し、プロジェクト状況のより良い把握とコントロールを可能にします。

  • プロジェクトメンバーは、Trelloのカードから、Redmineのスケジュールを確認したり、Redmineに進捗を報告したりできます。同時にTrelloの優れたタスク管理機能を利用して、日々の作業の効率化も図れます。
  • プロマネは、Trelloのカードを通して、Redmineからスケジュールをタイムリーに展開し、その進捗を把握できます。これによりプロジェクトの状況をより適切にコントロールできます。

上記の他にも、ガントチャートのGUIによる編集、Redmineにアカウントを持たない外部ユーザーとの連携など、標準のRedmineにはない機能も提供しています。

その特徴とメリットをデモも交えて紹介します。(因みにデモのナレーションは、AWSのPolly (Text-To-Speechエンジン) で作成しました。イントネーションがちょっとアレなのはご愛嬌ということで …)

TrelloとRedmine、ときには競合ツールとして比較される両者ですが、その機能を比較してみると、実は補完的な関係にあることが分かります。

Redmineはプロマネにとっては大事なツールだけど

プロマネにとってはRedmineは無くてはならないなプロジェクト管理ツールです。スケジュールの作成・調整・監視などプロマネが必要とする機能が揃っています。しかしプロジェクトメンバーにとっては、進捗報告以外にできることは限られています。実作業の管理に使おうとすると、入力できる内容や使い勝手に不満がでるのは否めません。「プラグインを使ってカスタマイズすれば何でもできるよ」との声もあると思いますが、カスタマイズには敷居の高さを感じます。

Trelloはメンバーの助けになるツール

この点Trelloは、プロジェクトメンバーが日々の作業の中で実践的に使うことができる、強力なタスク管理ツールです。個人としての作業の段取りや結果の整理、チームとしての情報共有など使い勝手の良さには定評があります。

ただプロマネとしては、ガントチャートによる全体の俯瞰ができない、タスク間の依存関係が定義できない、スケジュール調整が難しい、といった点で機能不足と感じます。こうした機能は逆にRedmineの得意とするところです。

TrelloとRedmineの良いとこ取り

ではTrelloとRedmineを連携できたらどうでしょうか? 日々の作業のためにTrelloのカードを開いて、その中で最新のスケジュールを確認したり、進捗の報告ができたりすれば、プロジェクトメンバーにとっての負担はかなり軽減できるはずです。RedSyncはこのような発想から生まれました。

どのように連携するのか

RedSyncは、RedmineのチケットからTrelloのカードを作成し、チケットの更新をカードに同期します。またカードに入力された進捗をチケットに同期します。

次の図ではRedmineと連携したTrelloのカードの例を示します。プロジェクトメンバーは、毎日の作業の中でカードの情報を参照・更新しつつ、プロマネの求めるスケジュールの確認や進捗の報告を行うことができます。

Redmineと連携したTrelloのカードの例

もう一つの連携機能として、Trello上でガントチャートを表示・編集することができます。特に編集はドラッグ&ドロップで行えるので、プロマネにとっては作業効率のアップにつながります。

またメンバーにとってもガントチャーを確認することで、先行タスクの進捗を把握して自作業の予定を立てたり、後続作業を把握して必要な調整をするなど、作業効率のアップにつながります。

ガントチャートの例

詳細はこちら

📖ユーザーガイド
📚ライブラリ

主要機能

RedmineのチケットからTrelloのカードを作成・更新
RedmineのチケットからTrelloのカードを作成します。カードを作成した後も、チケットとカードの間でデータを同期することで、常に最新のスケジュールに更新できます。

Trelloのカードからステータスと進捗をRedmineに報告
カードから作業のステータスと進捗を更新し、その結果をRedmineのチケットに反映できます。

🎞️デモ
内容: RedmineのプロジェクトをTrelloのボードに同期し、チケットからカードを作成します。作成されたカードを開いてステータスと進捗率を変更します。その結果をRedmineのチケット一覧で確認します。

Trelloのガントチャートでスケジュールと進捗を確認
Trello上のガントチャートで、スケジュールと進捗を確認できます。

🎞️デモ
内容: ボードメニューからガントチャートを表示し、スケジュールと進捗を確認します。

Trelloのガントチャートでスケジュールを作成・更新
Trello上のガントチャートで、新しいチケットを作成したり、既存のチケットのスケジュールを変更したりできます。これはRedmineのガントチャートには無い機能です。

🎞️デモ
内容: ボードメニューからガントチャートを表示します。ドラッグによりチケットの期間を調整します。また新しいチケットを追加し、関連チケットを指定します。

外部ユーザーとの連携
外部のパートナーなど、Redmineにアカウントを持たないユーザーと、Trello上で連携できます。この連携には共有APIキーを使用します。共有APIキーは仮想のRedmineユーザーに割り当てられたAPIキーで、このキーを使ってTrelloからRedmineにアクセスします。外部ユーザーは、通常のIDやパスワードは持たないので、直接Redmineにログインすることはありません。

その他の機能

カードから作業時間を入力
カードから作業時間を入力し、Redmineのチケットに反映できます。修正、削除も可能です。

Redmineのカスタムフィールドにカードからデータを入力
RedmineのチケットのカスタムフィールドをTrelloのカスタムフィールドにマッピングできます。これにより、カードからチケットのカスタムフィールドにデータを入力したり、逆にチケットのカスタムフィールドのデータをカード上で確認したりできます。

カードをチケットの優先度で並べ替え
Redmineのチケットの優先度で、リスト上のカードを並べ替えられます。

チケットの内容でカードを絞り込み
チケットの更新でワークフロー (Butler) を起動
Redmineのチケットの標準フィールド (トラッカー、ステータス、進捗度、カテゴリー、担当者) またはカスタムフィールドをTrelloのカスタムフィールドにマッピングできます。マッピングされたカスタムフィールドを使って、カードを絞り込んだり、ワークフロー (Butler) を起動したりできます。

🎞️デモ
内容: Redmineのチケットの優先度を「今すぐ」に変更しTrelloに同期します。これによりワークフローが起動され、該当のカードを「緊急対応」リストに移動し、カードに警告のステッカーを追加します。

フリー vs. プロ

RedSyncにはフリー版、パーソナル版、プロ版 (有償) があります。プロ版はボード単位のサブスクリプションで、$5/月/ボードになります。1プロジェクトにつき1ボードの関係になります。(ユーザーごとの課金はありません。ボードのユーザーが何人いても費用は同じです)

参照: プランの比較

フリー版

  • RedmineのチケットからTrelloのカードを作成・更新できます
  • ガントチャートを表示して全体スケジュールを確認できます
  • チケットの更新は、直接Redmineの画面から行う必要があります。ただしカード上にチケットへのリンクを貼付しているので、そこからチケットを開いてデータを入力できます

プロ版

フリー版の機能に加えて、

  • カードからチケットのデータを更新できます。Redmineの画面を開くことなく、カード上で作業を完結できます
  • ガントチャートをドラック&ドロップで編集して、プロジェクトのWBSやスケジュールを、簡単に定義したり変更したりできます
  • CORSサポートの無いRedmineサーバーにも、RedSync Proxyを通してアクセスできます

パーソナル版

プロ版と同じ機能が使えます。ただしボードメンバーは一人に限られます。個人プロジェクトでの使用、またはプロ版導入に向けた評価での利用を想定しています。

  • ボードのメンバーは一人に限られます。

コストの最適化

長期に渡るプロジェクトの場合、月々の費用を負担に感じる場合もあると思います。その場合はプロ版を使っていても、途中からフリー版に戻せます。例えば、報告頻度の高いフェーズではプロ版を使い、落ち着いてくればフリー版に戻すことで、コストを最適化できます。アーカイブされたプロジェクトの場合も同様です。

RedSyncを試してみる

RedSyncはTrelloのPower-Upなので、他のPower-Upと同じくTrello上で簡単にインストールできます。

ステップ 1: フリー版で利用を始める

フリー版のほとんどの機能は、Redmineサーバーが稼働中であれば直ぐにでも利用開始できます。

ステップ 2: パーソナル版を試す

プロ版と同じく全機能が使えます。RedSyncの設定画面からパーソナル版を有効化できます。

ステップ 3: プロ版の機能を試す

プロ版の機能は、Optroマーケットプレース (後述のサプスクリプションの項を参照) で、無料トライアルが提供されています。パーソナル版と違ってボードメンバーの制限はありません。実際に試してみて、プロジェクトのニーズに合っているかどうか確認できます。

HTTPSがあればOK

どちらのステップも、RedmineサーバーでHTTPSのサポートが必要です。ほとんどのサーバーがサポート済みかと思いますが、ご自分の環境をご確認ください。

その他の必要となるRedmineの構成については、こちらも参照してください。

すでに準備OKの場合は、下記のリンクからTrelloにRedSyncをインストールすることができます。


Add to Trello

サブスクリプション

プロ版はPower-UpのマーケットプレースであるOptroで提供しています。Optroにユーザー登録すると、7日間の無料トライアルも利用できます。支払いはインターネット向け決済会社のStripeが使われています。(国内のECサイトなどでも使われている実績があります)

HTTPSとCORSに関する資料

RedmineのインストールとHTTPSやCORSのサポートについて、下記の記事に記載しています。

システム管理者に要相談という方も、資料の情報をシステム管理者に伝えて頂けると、検討しやすいと思います。

UbuntuにRedmine 5.1/Ruby 2.7をインストールする
UbuntuにRedmine 5.1をインストールする手順をステップバイステップで紹介します。Ruby 2.7, MySQL 8.0を使っています。CORS対応, HTTPS化についても解説しています。コピー&ペーストで実行可能です。
UbuntuにRedmine 5.1/Ruby 3.2をインストールする
UbuntuにRedmine 5.1をインストールする手順をステップバイステップで紹介します。Ruby 3.2, MySQL 8.0を使っています。CORS対応, HTTPS化についても解説しています。コピー&ペーストで実行可能です。
UbuntuのRedmineをApacheで動かす (HTTPSとCORSに対応)
UbuntuにインストールされたRedmineをApacheと組み合わせて稼働する手順を紹介します。自己証明書を使ったHTTPS化、またCORSの対応方法についても紹介しています。
リバースプロキシによるRedmineのHTTPS化とCORS対応
RedmineサーバーをHTTPSとCORSに対応させる方法として、リバースプロキシを使う方法について紹介します。RedmineのRestAPIをブラウザ内のアプリから利用するために必要です。

参考資料

RedSyncの参考資料一式 (ユーザーガイドなど)

変更履歴

日時内容
2023/04/25価格を$5/ボード/月に改定
2023/02/13Ganttチャートについて記述
2022/09/17RedSync Proxyについて記述
2022/08/21デモを追加
2022/08/08CORSの要件変更について記述
2022/07/21改訂版リリース (分割)
2022/05/29ユースケースについて追記
2022/05/24初版リリース
RedmineRedSync
スポンサーリンク